MSレポート NO.7

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ここでいう環境マネジメントシステム(EMS)とはISO14001:2004版に基づいています。

噴水遊び

公園の噴水遊びを騒音認定、「基準超す」と使用禁止に
公園の噴水で遊ぶ子供の声やスケートボードの音が苦痛だとして、近隣の女性が「西東京いこいの森公園」を管理する西東京市に騒音差し止めを求めた仮処分について、東京地裁八王子支部は昨年10月、女性の訴えを認める決定を出しました。同公園は、旧東大原子核研究所(約44,000㎡)の跡地に2005年4月に完成。噴水は公園東側に位置し、地表にある約20の射出口から水が噴き出す仕組み。30年以上前からこの場所で暮らしてきた女性の自宅は、公園の北側隣接地にあり、女性は1991年頃に心臓の手術を受けた後、不整脈や不眠の症状が出て、今も療養中。なお、市の観測によると、噴水で遊ぶ子供の声は、女性の自宅周辺では60デシベルで、都の騒音規制基準値(50デシベル)を超えていたことが判明しました。女性は、市に対して改善を訴えていましたが、対応してもらえないことから訴訟に踏み切ったといいます。(参考:2007年10月16日付新聞記事より)

今回の事例は、「子供の声が騒音とみなされた」という点でインターネット上でも大きな話題を呼びましたが、「子供が歓声をあげても、周辺住民が騒音と感じることのない公園にするためにはどうすればよいのか」という観点で、公園を管理・運営する立場から、トラブルの原因を考えることも必要ではないでしょうか。
そこで、今回は住民の生活環境の保全にも配慮した「環境マネジメントシステム」の視点から考えてみたいと思います。

※環境マネジメントシステム(Environmental Management System, EMS)とは…
事業者が自主的に環境保全に関する取組を進めるに当たり、環境に関する方針や目標等を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくことを「環境管理」又は「環境マネジメント」といい、このための仕組みを「環境マネジメントシステム」といいます。ISO14001は、組織活動が環境に及ぼすマイナスの影響を軽減することやプラスの影響を伸ばすことを目的に定められた、環境に関する国際的な標準規格で、EMSを構築するための要求事項が規定されています。以下、EMSは、その「環境マネジメントシステム」が示している要求事項の意訳です。

新しい公園の設置を決めた段階では、まず「公園の設置によって考えられる“環境に影響を与える要因”」を抽出します。そして、それはどのように環境に影響を与えるのか…良い面、悪い面の両方から考えます。今回であれば、「公園は市民の憩いの場だから、住環境は良くなる。でもにぎやかになるので、近隣住民が不快に感じるかもしれない」という視点や公園設置に関する法令などから、<住環境に影響する要因>として「騒音」があげられなければなりません。
EMS環境に影響を与える要因
組織は、仕事やサービスを提供することで環境が変化してしまう要因を抽出しなければならない。それは、次の2つの観点から抽出すること ①組織が管理できるもの(今回の騒音のように、自らの努力で減らしたり、増やしたりできるもの) ②直接管理はできないが、働きかければ変えられるもの。なお、抽出する際は、新しい仕事・サービスの企画や変更が環境に与える影響も考慮すること。

次に、抽出した「環境に影響を与える要因」に関わる法令や外部関係者の要望を調べることになります。今回の場合、「東京都環境確保条例の騒音規制」で決められている、公園設置区域の基準値を調べたり、近隣住民の意向を聞くなどして、設計に反映させるための情報を集める必要があったと思われます。
EMS法律や関係者との取り決め
組織に適用される環境関係の法律(条例含む)や、利用者、近隣住民など関係者との環境に関する取り決めをすべて把握すること。またそれらの法律(条例含む)や取り決めの具体的な内容を確認できるようにしておくこと。さらに、これらの法規制や取り決めによって、組織が何をしなければならないのか、どんな基準を守らなければならないのかを明確にしておくこと。

公園の設置目的を明確にし、実現するための計画を立てて、設計します。例えば「市民が安心して公園を利用でき、近隣の住環境も保たれる公園とする」など、目的を明確にし、「騒音」への対応を考慮して、騒音が出ない構造や周辺環境に影響を与えないような構造を考える必要があるのでしょう。ちなみに今回の公園は広大な敷地で、住宅地の反対側は農地であったとのこと。噴水の位置を住宅地から離れた場所に設置したり、防音壁を作るなど、様々な対策をとることができたようにも思います。
EMS環境をよくするための目標設定と実施計画書の作成・実行
組織は、今までよりも環境をよくするための具体的な目標を設定し実施計画書を作成・実行すること。目標はできる限り、数値目標を設定すること。さらに、目標を設定するときは次のことを考慮すること。①法律や関係者との取り決め②抽出した「環境に影響を与える要因」に当たるか③技術的にできるか④費用的に可能か⑤関係者の意見はどうか など。
なお、計画には、具体的なやり方と担当者、スケジュールを決めること。

環境にやさしいまちづくりを!
今回の事例は、ニュースでも様々な視点から取り上げられていましたが、子供の遊び声を「歓声」とらえるか「耳障り(騒音)」と感じるかは人それぞれで、第三者が「歓声だ」もしくは「騒音だ」と決められるものではありません。やはり今回のトラブルの原因は「行政の環境に対する考え方・仕組み・取組み」に考慮すべき事項があったのではないかと考えられます。
同じように新しい公園を設置した他の市(武蔵野市など)では、近隣住民に設置場所などを1軒1軒に呼びかけして聞き取り調査をしたり、専門家のアドバイスで騒音が出ない構造にした結果、「騒音」に関する苦情はないという事例が報道されていました。
今回は、「公園の騒音問題」について、環境マネジメントシステムの視点からトラブルの原因を考えてみましたが、近年は地球規模で環境問題に取り組み、日本でも環境問題に関する法律が数多く制定・改訂され、環境関連の法律が急速に進んでいます。このことから、とりわけ行政の率先した取り組みが要求されていることはいうまでもありません。

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