MSレポート NO.10

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ここでいう品質マネジメントシステム(QMS)とはISO9001:2000版に基づいています。

11の小学校で、給食に異物混入
給食1Y市立小学校11校で、給食のふりかけの中から金属片や木片などの異物が相次いで見つかった。これまでの市教委などの調査によると、ふりかけの材料に使われた「いりこ」に異物が混入したものとみられる。こうした事例は複数の小学校で見つかっていることから各校に納入される前に混入していた可能性が高いという。
「いりこ」は、瀬戸内海で取れたものを東京都内の業者が購入し、K市内の業者に販売。Kの業者が袋に小分けして各校に納入したという。それに各校の調理員が削り節、糸コンブ、白ごまの三種類を加えて混ぜ合わせ、ふりかけとして提供していた。
給食の安全について最終的に確認する責任が小学校にはあるが、「マニュアル」では「平らな器具に広げて異物の有無を確認する」という調理前の検品(原材料の確認)が義務付けられているにもかかわらず、一部の小学校ではそれを怠った。調理前の「いりこ」の確認は、袋の外から目視のみで終わらせていた。長さ十ミリもの金属片が混入していたのに調理員が気付かず、児童がそのふりかけを口にしたケースもあった。
「マニュアル」通りに対応した小学校では、作業台に「いりこ」を広げた際に異物を発見している。この問題が明るみに出た後も、給食に金属片が混入し、児童の口の中から発見されている。
※2008年3月19日付新聞の社説より抜粋
≪参考≫学校給食への異物混入発生について、混入物の種類や状況は、それぞれ異なりますが、同市によると、下記の通り発表されています。 (同市記者発表資料より)
・平成18年11月…3校
・平成19年 6月…1校、10月…2校
・平成20年 1月…1校、 3月…11校、 3月…1校(3月19日新聞発表後に発生)

今回の事例は、市教育委員会が定めたマニュアル通りに作業していれば防げたトラブルです。しかしながら「異物の混入」というトラブルが、同市内でここ数年繰り返し起こるのは、なぜなのでしょうか。そこで今回は、同様のトラブルをなくしていくためにはどうしたらいいのかを、学校給食を管理している市教育委員会のQMSの視点から考えてみたいと思います。
※「品質マネジメントシステム」(QMS)とは、「お客様に満足・感動・安心・信頼していただくために、きちんと仕事をする」という前提のもと、そのためのしくみや手順、ルールを決めたものです。「品質マネジメントシステム」には、業種を超えた共通の、事故・トラブルを未然に防ぐヒント(要求事項)があります。
以下、 は、その「品質マネジメントシステム」が示している要求事項の意訳です。

給食2組織は、仕組み(システム)を作った後、マニュアルを担当者に渡すだけでなく、マニュアル通りに業務が実施されているのかを確認することも重要です。もしマニュアル通りに実施されていない場合は、なぜ実施されていないのかについても考える必要があります。「担当者の力量、自覚の問題? それともマニュアルが不適切?非現実的?」など、多角的な視点から原因を検討し、修正・改善していくことが大切と考えます。
例えば、今回は「平らな器具に広げて異物の有無を確認する」という調理前の検品を、指示通りに行なった学校と怠った学校がありました。怠った学校はなぜ決めた通りに実行していなかったのでしょうか。調理員の怠慢として責任を押し付けるだけではなく、学校や当事者から話を聞くなどして、真の原因を見つけ出し、仮に手順に無理があるのであれば、手順の見直し(マニュアルの改訂)を考えることも必要ではないでしょうか。

仕事ぶりのチェック及び仕事の実績の把握
組織は、品質にかかわる仕事が、決めた通りに実施されているかどうかを適切な方法でチェックすること。数値で表せるものがあれば、その数値を調べることで(作業記録の集計、機器の測定など)、仕事が順調に進んでいるかどうかを確かめること。ねらい通りの仕事ができない場合には、適宜、修正及び再発防止対策を実施すること。

組織の製品品質に影響を与える仕事では、作業する人の自覚・意識がとても重要です。そのためにも、どういう知識・能力が必要で、どう教育していくかなどの計画を立てて実行する必要があると思います。
例えば、今回は、調理員の方が「マニュアル通りに実施しないと、どんな問題が起こりえるか」などの認識が欠けていたようにも思います。

仕事をするための力量、認識及び教育訓練
組織は、製品品質に影響がある仕事に従事する人に必要な力量を明確にする。また、各自が、自らの仕事の位置づけや仕事の重要性を認識し、品質目標の達成に向けて「自分が貢献できることは何か」を認識するようにする。

 トラブルの原因は、“人”ですか?
同市では、今後の対応措置として「食材の納品時及び調理時における検品を徹底するよう通知するとともに、学校栄養職員及び調理員に対する研修を実施します。」と発表しています。
また、これまでの異物の混入トラブル発生の都度、「納入される食材の安全確保並びに調理、運搬、配食の各行程での異物混入防止対策を検討し、全給食実施校に対して、学校給食の安全管理の徹底について周知を図ります。」と発表していました。
これらの対応措置で気になるのは、マニュアルの徹底順守、調理員の意識向上など、調理員の力量・認識に頼った対策に終始していることです。
もちろん、教育を徹底することも必要ですが、組織の責任として「マニュアル」を渡しっぱなしにするだけでなく、「マニュアル」通りに実施されているかどうかを確認し、されていないのであれば、「なぜ実施できないのか」を現場の担当者に聞くなどして調べ、その原因を真摯に受け止めて改善していくことが、同様のトラブルを減らしていくことにつながると私は考えます。

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