答えのない仕事に足踏みしていませんか?「考える」非定型業務とは

現代の仕事のほとんどは、マニュアルや手順書があれば誰でも同じ成果を出せる「定型業務」と、状況に見合った適切な判断力が必要とされる「非定型業務」が混在していると言われています。

定型業務は、誰でもできるように定められた手順を、その通りにこなすことが求められます。しかし、これらは機械が得意とするところであり、将来的にはAIやRPAツール、ロボットなどに取って代わられていくでしょう。
そのため、これからの時代働く人々に求められるのは、ロボットにはできない【自ら調べ、考え、判断するクリエイティブな思考が必要となる「非定型業務」をこなす力】です。
非定型業務では、目的を達成するために何をすべきか、どんなアプローチをするのか、さまざまな視点から考えて試行し、その成果を求められます。

とはいえ、明確な答えのない非定型業務は、目的や人によってやり方が異なるため、「できる人」「やったことがある人」ばかりに任せ、その結果その人にしかできない業務として属人化してしまいがちです。
属人化したまま担当者が退職してしまうと、「ノウハウが分からない」という状況になり、ゼロからやり直しとなります。そのぶん、時間やお金が余計にかかり、企業にとっては大きな損失となります。
それでは、マニュアル化できない業務を効率化するためには、一体どうすればいいのでしょうか?

本コラムは多岐にわたる非定型業務を3種類に分類し、効率化のためにまず何をすればいいのか、そのテクニックについて全4回でお送りします。
第1回では、非定型業務はどのような種類に分けられるのかを紹介していきます。

自分の仕事はどれにあたる?非定型業務は3つに分類できる

もともと「定型業務」「非定型業務」という分類は、Autor, Levy and Murnane(2003)というアメリカの学術記事で提唱されたものです。
ここでは、非定型業務を主に3つに分類しています。

1.    コミュニケーションで価値を創造!ビジネスの潤滑剤「非定型相互業務」


「取引先との人脈構築・維持」「人材育成・能力開発」「業務指示や部下に対する指導」など、コミュニケーションによってビジネスを円滑に進め、価値を創造する業務「非定型相互業務」と呼びます。
相手や状況に応じて適切な対応をとることが求められる、まさに「非定型」な業務といえます。
職種としては業務マネージャー、小売店の店長、教員などの中間管理職や教育者のほか、営業職、場合によっては受付対応なども該当するでしょう。

2.    自律的に学び、専門技術を提供しつづける「非定型分析業務」


「情報の収集・分析」「創造的な思考・発想」「情報の解釈・説明」など、データ・情報を収集し、ビジネスに活用するためにかみ砕き、利用手段を検討する業務「非定型分析業務」と呼びます。
一般的に「クリエイティブな仕事」として連想されるデザイナー・エンジニア・イラストレーター等の技術職のほか、膨大な症例から患者の状態を判断・治療する医師、あらゆる実験調査を体系的にまとめる研究者等が該当します。
また、社内の情報システム部、広報担当者などの業務も該当することが多いでしょう。

3.    縁の下の力持ち!サービスを提供する「非定型手仕事業務」


「熟練した手作業」「現場の状況に応じた判断・対応」など、豊富な経験や判断力を求められる身体的作業「非定型手仕事業務」と呼びます。
ある程度マニュアル化されていたとしても、現場で最良の判断を下さなければならない状況にあれば非定型業務に該当します。
サービスを提供する接客業、清掃員や輸送業の運転手、建設や土木現場の作業員など、社会を支えるまさに縁の下の力持ちです。

参考:THE SKILL CONTENT OF RECENT TECHNOLOGICAL
CHANGE: AN EMPIRICAL EXPLORATION* (Author,Levy and Murnane) https://economics.mit.edu/files/11574
みずほ総合研究所 “デジタル時代に必要なスキルとは” https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp180910.pdf
TECH CAMP “10年後AIによってなくなる仕事13選。なくならない仕事も紹介”  https://tech-camp.in/note/technology/82291/

「非定型業務」の効率がアップすると何が変わる?

こうして分類してみると、普段わたしたちが何気なくこなしている「仕事」は、さまざまな非定型業務が複雑に絡まり合って構成されていることがわかります。
では、「非定型業務」の効率が上がると、一体何が変わるでしょうか?

1.    ノウハウの共有がスムーズになり、属人化を排除できる

ノウハウの共有を含め、コミュニケーションが円滑にできていると、1人の担当者しかノウハウを知らないという、いわゆる「属人化」にはなりません。
ノウハウを個人ではなくチーム単位で蓄積できれば、「この人がいないから業務が進まない!」という状況を減らし、業務を効率的に進められるようになります。

2.    自社の強みを明確にし、顧客にアピールできる

非定型業務の効率化のためには、社員それぞれがどんな業務に従事し、どのようなやりかたで取り組んでいるのかを分析・把握することが不可欠です。社員の業務を把握することにより、「自社(社員)がどんなノウハウを保有しているのか」がはっきりしてきます。
そのノウハウは自社の強み、つまりアピールポイントです。非定型業務の効率化を目指すことで、属人化の排除だけでなく、論理的な根拠をもって自社の強みを顧客にアピールできるようになります

3.    人材育成のコストを減らしつつ、より優秀な人材を育成できる

非定型業務の効率が上がることは、「自身で考え、判断できる社員を増やすこと」につながります。
新入社員にただ手順を教えるのではなく、ノウハウや考え方を共有すれば、その後1から10まで教えるコストを減らすことができ、その時間を社員のスキルアップに使えます。

参考:Books&Apps “全員がクリエイティブな仕事をすることが可能か、と言われれば、おそらく可能である。” https://blog.tinect.jp/?p=60537
雅デザインエンジニアリング事務所 “仕事は「定型業務」と「非定型業務」がある。知識労働者とコンサルの使い方” https://masajimu.jp/2020/04/26/consulting4/

まとめ:非定型業務の効率化は、今後の企業成長のカナメ

手順書やマニュアル化で誰でも成果が出せる定型業務はAIやRPAツールに成り代わり、これからはますます非定型業務が仕事の中心となっていくでしょう。
それに伴い、企業の成長発展には非定型業務を円滑に進められる社員の育成・スキルアップが非常に重要になってきます。

第2回では「非定型相互業務」を深く掘り下げ、効率化のための具体的なテクニックをご紹介します。