●担当者が不在になると業務が停滞してしまう・・・
●有給休暇の取得率がなかなか上がらない・・・
●業務の効率を図るポイントが見えない・・・
●ミスの発見が遅い・・・
その悩み、もしかしたら「業務の属人化」が原因かもしれません。
「属人化」とは・・・
―――企業などにおいて、ある業務を特定の人が担当し、その人しかやり方が分からない状態になることを意味する表現。
多くの場合批判的に用いられ、誰にでもわかるようにマニュアル作成などにより「標準化」すべきだとされることが多い。
weblio辞書 (一部抜粋)
この記事では属人化によって引き起こされるリスクと、解消によって得られるメリットをご紹介します。
もしかしたら貴社にも、解消することで「こんなに無駄が減った!」という「属人化業務」があるかもしれません。
身の回りに潜む属人化のリスクとは?
属人化という言葉の説明を読み、「あの業務が属人化している!」と属人化しているすべての業務を表面化させ把握することは難しいのではないでしょうか。
ここでは、企業が抱える課題について、その原因が属人化にあるかも?という例をご紹介します。
担当者が不在になると業務が滞る
いつも決まった人が決まった仕事をしていて、その担当者が休むと業務が進まなくなる、ということはありませんか?
外部からの問い合わせに担当者が不在だと対応できない、ということも起こります。
一見「業務が滞る・対応できない」という問題だけのように見えますが、これは「自分が休むと仕事が進まなくなる=休むことができない」ということにも繋がります。
また、「自分が休むことでお客様に迷惑をかけてしまう、だから休むことができない」という声も営業担当者からよく聞かれます。
有給休暇取得の制度はあっても、実績が伴わない原因のひとつになります。
業務の改善点が発見しづらい
「あの人は今何の仕事をしているのだろう?」と、遂行中の業務が見えないということはありませんか?
リモートワークの普及に伴いその課題が顕在化した、という声が、筆者が参加したセミナーの参加者からも聞かれました。
誰がどんな業務に取り組んでいるかが見えず、業務の進捗状況がわからないと、「あれはどうなった?」「これはどうなった?」という無駄なやり取りが生じたり、業務のアウトプットが出揃ったときに初めて「重複していることに気づく」といった無駄も考えられます。
業務の一部を切り取ると、「まとめて実施したほうが効率的」「別の手段を用いた方が短時間で完了できる」というものがあるかもしれません。
しかし、業務を一人で抱え、他の人に仕事が見えない、つまり仕事のプロセスが見えないという場合は、もっと効率や成果を上げる方法があってもそれに気づくことができません。
非効率な業務を続けるということで、無駄な時間や経費をかけてしまっている可能性があります。
故に、業務が見えないという属人化した状態は、業務の効率化や生産性向上を図るチャンスを失うリスクに繋がります。
手順が共有されておらず品質にばらつきが出る
同じ材料、同じ機械を使っているのに、出来上がりの品質がばらついている、ということはありませんか?
製造業に限らず、企画開発やサービス業でも同じことが起こり得ます。
同じインプット(材料・データ等)を使っているのにアウトプット(製品・サービス等)の品質が異なるのはなぜでしょうか?
インプットをアウトプットに変換するプロセス、つまり手順が異なっているからです。
一人の人がどんなに良い品質を提供しても、全体でばらつきがあると発注側は不安になり、再度注文しようとはなかなか思えません。
人によって品質にばらつきがあるということは、会社の信頼低下にも繋がります。
また、ずば抜けた成果を上げる人のおかげで好業績を維持している場合、その人が働けなくなったら・・・、急に仕事を辞めることになってしまったら・・・、結果は容易に想像できますよね?
「個の力」のみに依存した業績は、積み木のように非常に不安定で容易に崩れる可能性がある、というリスクを抱えており、業務が属人化している状態と言えます。
チェック体制が機能せず、ミスの発見が遅れる
専門的な知識のある人が担当している業務は、「他にできる人がいないから」と、いつもその担当者に割り振られ、結果として他にその業務を担当できる人が育たない、ということも起こり得ます。
その業務を行える人が育たないだけではなく、知識がない人には良し悪しの判断が難しいという一面もあります。
そうなると、業務がブラックボックス化し、チェック体制が機能しなくなってしまいます。
良い・悪い、正しい・間違っている、の判断がつかないということは、ミスの見落としにも繋がり、最悪の場合、意図的な不正を発見できないという危険もあります。
専門的な知識を持つ人にしかできない仕事は、他の人が全く関与できない仕事になりうるため、リスクを伴います。
他の人が関与できない仕事は、属人化している業務と考えられます。
担当者の退職でノウハウが失われる
ノウハウとは、ある専門的な技術やその蓄積のことを指し、企業の活動に必要な知識・経験の情報のことを指します。業務の進め方なども、大切なノウハウです。
熟練した技術者や長年専門的な業務に携わってきた人の退職に伴い、その知識や技術、経験の情報が引き継がれないということは、会社の財産が失われることに等しいです。
その人しかできない仕事とは、その人がいなくなってしまったら誰もできない仕事である、というとても大きなリスクを背負っています。
一人の担当者にしかできない仕事があるという状況が、いわゆる属人化です。
目指せ標準化!属人化を解消して得られる5つのメリット
前段で紹介した課題は、いずれも「属人化」が関わっています。
ここからは、属人化を解消し業務の標準化を図ることで、上記の課題がどのように解決されるか、紹介していきます。
1.有給休暇取得率の向上
誰かが不在にしているときに取引先から問い合わせがあっても、複数人のチームでプロジェクトを担当、分担していれば、他の人が対応できる状態が保たれます。
問い合わせだけではなく、不在者がいたとしても他のメンバーで対応することができるため、業務が滞るリスクも軽減します。
また個人としても、「自分が休んでも仕事は滞らない」という環境が構築されているため、有給休暇を安心して取得することができます。
2.仕事の見える化で効率アップ
業務を複数人で分担することで、日々進捗状況や情報の共有が行われます。
そのため、今誰がどのような業務を進めているか、チーム全体で把握することができ、仕事の見える化ができるようになります。
また、他の社員が作成した資料を活用できるというメリットもあります。
一人ひとりが毎回イチから資料を作る必要がなくなるため、資料作成時間の削減にも繋がりますし、随時改善点も共有されることで、資料作成工程自体のブラッシュアップにも繋がります。
一方で「自分がこれまで築き上げたノウハウを後輩に教えることで、自分の存在価値を失いそうで怖い。」
というベテラン社員の声も良く聞かれます。
しかし、これまで築き上げた個人のノウハウを後輩等に伝承し、成長を促すことは、企業としての成長も得られますし、個人としての評価にも繋がります。
どのような業務をどのくらい抱えているのか、その成果がどうか、ということも見えるため、管理者は仕事の割り振りや正当な評価がしやすくなります。
3.安定した品質管理の実現
同じインプット(材料・データ)を使用しているのにアウトプット(製品・サービス)の質が異なる理由、それはそのプロセスが異なるため、と前述しました。
では、そのプロセスを一定にすることができれば、生み出されるアウトプットは一定になるのではないでしょうか?
業務マニュアルや手順書などの活用によって、プロセスが一律になることで、誰が実施してもアウトプットの品質が変わらない、という安定した品質管理の実現や、初めて行う業務も効率的に実施することによる生産性向上にも繋がります。
4.ミスの早期発見
特定の人しかできない業務は、それをチェックできる人がいないということであり、間違いや無駄があっても発見されず、最悪の場合不正の検出もできなくなります。
業務を標準化し複数人で分担できるようになると、業務を「見る目」が増え、業務のブラックボックス化が改善されるため、チェック体制が機能しやすくなり、不正を未然に防ぐことができます。
万が一不正やミスが起こってしまった場合も、発見が早くなるため被害が広がる前に対応することができます。
また、複数人で分担し、「複数の目」で見ることで改善点も発見しやすくなり、業務の質の向上にも繋がります。
5.ノウハウという財産の蓄積
日々社員が行ってる業務は、すなわち会社としての経験です。
社員間でしっかり共有し、業務を標準化できると、担当者がいなくなっても後任者に漏れなく引き継ぐことができます。
例えば、口頭での引継ぎでは伝言ゲームのように、引き継がれていくうちに間違った解釈や手順とすり替わる危険性がありますが、誰が見ても同じ解釈ができるマニュアル(文書・動画等)であれば、正しい内容で引き継がれ、会社のノウハウが生き続けます。
属人化を解消し業務を標準化することは、ノウハウの継承にも繋がります。
まとめ:属人化を解消して業務の効率化を図ろう
ここまで、担当者不在で起こる、業務停滞や業務品質のばらつきなどの原因の一つとして挙げられる、属人化について紹介してきました。
では、属人化している業務を解消し、業務を標準化するためには何をしたら良いのでしょうか?
手あたり次第何でもかんでもマニュアルを作る、というのは現実的ではありませんよね。
排除しようにも、その対象が分からないと対応できません。
そのため、まず大切なのは現状を正しく把握することではないでしょうか?
担当者がいないと停滞してしまう業務がある・・・
有給休暇の取得率を上げたい・・・
業務をもっと効率化したい・・・
などのお悩みは、属人化した業務が原因かもしれません。
その根本的な原因と改善方法を見つけてみませんか?
当社のワーク・ライフ・バランス支援では、どのような業務が属人化しているのか、現状把握から支援まで貴社に合わせた提案を行います。
まずはワーク・ライフ・バランス「アセスメント」で現状を確認してみませんか?
「属人化排除」だけではなく、「経営層の意識」「従業員意識、風土」「環境」「生産性向上」「推進体制」の6カテゴリーについて全社員を対象としたアンケートや、現場調査等で徹底的に確認します。
現状を把握し、課題を明確にして、改善への第一歩をお手伝いいたします。
また、作業手順書の作成支援や、手順書の動画化支援など、業務の標準化に関する支援も行っています。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。